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透析患者さんのお正月と食事|おせち・お雑煮を楽しむための工夫

透析患者さんのお正月と食事|おせち・お雑煮を楽しむための工夫

結論:透析患者さんでも、お正月の食卓を「全部ガマン」する必要はありません。おせちやお雑煮には塩分・水分・カリウム・リン・糖分が多いものも含まれますが、「どの料理を」「どのくらい」「どんな工夫で」食べるかをあらかじめ考えておけば、体調への負担を抑えながら季節の楽しみを味わうことは十分可能です。

特に40〜80代の透析患者さんは、年末年始に生活リズムが乱れて体重増加や血圧の変動につながりやすい時期でもあるため、“何となく食べる”のではなく“計画して楽しむ”という視点を持っておくと安心です。

この記事では、お正月の代表的なメニューと注意ポイント、年末年始にやりがちな行動とその対策をコンパクトに整理します。ここでお伝えする内容は一般的なお話なので、最終的な判断は必ず主治医や管理栄養士と相談しながら進めましょう。

年末年始に体調が乱れやすい理由

年末年始は、ふだんより「食べる回数が増える」「味の濃い料理が続く」「夜更かし・運動不足になりやすい」「透析スケジュールが変則的になる」といった要素が重なります。

おせちやオードブル、外食・出前などには塩分が多いものも多く、塩分をとりすぎると喉が渇いて水分摂取が増え、体重増加や血圧上昇、むくみ・息切れの悪化につながることがあります。昆布や豆、魚卵、餅などはカリウムやリン、糖分も多くなりやすく、高カリウム血症や血糖コントロールの悪化を招く場合もあります。

一方で「食べてはいけない」と考えすぎてほとんど口にしない状態が続くと、今度はエネルギー不足や低栄養のリスクが高まります。大切なのは、お正月の食事を一律にNGとするのではなく、「自分の体が許容できる範囲を意識しながら楽しむ」ことです。

おせち料理で気をつけたいポイント

おせち料理には“保存がきく”“見た目が華やか”という特徴があり、そのぶん塩分や糖分が多くなりがちです。ただし、料理ごとの特徴と量の目安を知っておけば、完全に避けなくても負担を抑えながら楽しむことができます。

おせち料理と注意ポイントの一覧

料理・食材 要注意ポイント 食べ方のコツの例
数の子・かまぼこ 塩分が多くなりやすい しょうゆを足さず、そのまま少量を味わう。取り皿に2〜3切れだけ盛ってゆっくり食べる。
昆布巻き(昆布+魚) カリウム・リン・塩分 1本丸ごとではなく半分〜1本にとどめる。煮汁は飲まずに残し、具だけ楽しむ。
黒豆 カリウムと糖分 小鉢1杯など量を決めて盛りつける。1粒ずつよく噛み、ダラダラ食べ続けないようにする。
栗きんとん カリウムと糖分 ひと口サイズを数個までにする。甘みの強いおやつはほかの時間と合わせて調整する。
田作り(小魚) リンと塩分 1本ずつよく噛んで味わい、食べる本数を決めておく。お酒のおつまみとして食べすぎない。
伊達巻・厚焼き卵 塩分と糖分 薄切り数枚を目安に、おかずの一部として少量添える。主食や他のおかずとのバランスも意識する。
お煮しめ・筑前煮 野菜のカリウム・煮汁の塩分 野菜は事前に茹でこぼしてカリウムを減らす。煮汁は残し、具材を少量ずつ楽しむ。

「何となく避ける」「何となく食べる」のではなく、あらかじめ自分なりのルールを決めておくと、同じおせちでも体への負担が大きく変わります。取り皿に先に適量を盛っておく、しょうゆやソースを追加しない、煮汁やタレは飲まずに残す、といった小さな工夫も積み重ねることで効果が出やすくなります。

お雑煮・おもち・飲み物との付き合い方

お雑煮は、お椀の中に「塩分(だし・しょうゆ・味噌)」「水分(汁)」「カロリー(もち)」がギュッと詰まっているメニューです。透析中の方は、塩分と水分のとりすぎを防ぐため、「汁をたくさん飲む」のではなく「具材を中心に楽しむ」イメージを持つと安心です。

例えば、「汁はお椀の半分以下にして、飲むのも2〜3口まで」「汁より具を多めによそう」といった工夫が考えられます。もちも1個あたりのエネルギーが高く、血糖値にも影響しやすい食品です。糖尿病を合併している方や体重増加が気になる方は、「1日1〜2個まで」「食べる日はほかの主食量を少し減らす」など、自分に合ったルールを主治医や管理栄養士と相談しておくと良いでしょう。

飲み物については、お茶や水だけでなく、甘い清涼飲料やジュース、日本酒やビールなども“すべて水分として体に入る”という意識が大切です。氷の多い飲み物は氷を減らす、小さめのコップを使う、アルコールは医師に相談のうえ許可された範囲でゆっくり少量にするなど、「1日の水分許容量の中に飲み物全体をどう収めるか」を意識して調整していきます。

 年末年始に「ついやりがち」なことと対策

真面目に食事や水分を管理している方ほど、年末年始になると「少しくらいなら」と気が緩みやすいものです。よくあるパターンと、現実的な対策をセットで整理してみます。

やりがちな行動と対策のイメージ

やりがちな行動 対策の例
おせちやお菓子をテーブルに出しっぱなしにして食べ続ける テーブルに大皿を置かず、取り皿に盛った分だけをゆっくり食べる。おかわりの回数もあらかじめ決めておく。
数日間、体重計に乗らずに過ごしてしまう 年末年始こそ「朝と透析前後の体重測定」を自分のルールにする。カレンダーにチェックを付ける。
塩分の多い加工食品が続く(ハム・ソーセージ・漬物など) 量を半分にして、代わりに茹で野菜やサラダを足す。塩分控えめのメニューを1〜2品用意しておく。
ラーメンや鍋のスープを最後まで飲んでしまう 「スープは残す」をマイルールにする。味見程度にとどめ、麺や具材を中心に楽しむ。
夜更かしで生活リズムが乱れる 起きる時間だけは普段と同じにそろえる。昼寝を長くしすぎないように意識する。

「全部きっちり守る」のではなく、「この2〜3点だけは守る」というマイルールを決めておくと、ストレスが少なく続けやすくなります。

透析スケジュールと年末年始の過ごし方

年末年始は、クリニックの休診日や透析の時間が一時的に変更になることがあります。透析と透析の間隔がいつもより長くなる日は、塩分・水分・カリウムの摂りすぎに普段以上に注意が必要です。

まずは、早めに「年末年始の透析日程」を確認し、そのスケジュールに合わせて食事や予定を組んでおきましょう。旅行や帰省の予定がある場合は、出発前に主治医や看護師に相談し、万が一体調が悪くなったときの連絡先や、持参すべき薬・お薬手帳・自分の透析条件を書いたメモなどを一緒に確認しておくと安心です。

ご家族には、「どのくらいの体重増加までが目安か」「水分は1日どの程度までが望ましいか」「どんな症状が出たら注意してほしいか」といったポイントを共有しておくと、サポートしてもらいやすくなります。

まとめ:我慢しすぎず、「計画して楽しむ」お正月を

透析患者さんにとって、お正月は楽しみであると同時に、体重増加や血圧・カリウムの変動が心配な時期でもあります。ただ、「お正月だから何でもOK」と「怖いから何も食べない」の二択ではなく、「どの料理をどのくらいなら自分の体に無理がないか」を前もって考えておくことで、楽しみと安全のバランスをとることができます。

おせちは少量をじっくり味わう、お雑煮は汁少なめで具を中心に楽しむ、体重や体調をこまめにチェックする──こうした小さな工夫の積み重ねが、安心して新年を迎える近道です。当クリニックでは、年末年始の食事や水分管理についてのご相談もお受けしています。

「お正月をどう過ごせばいいか不安」「どのくらいまでなら大丈夫か目安を知りたい」と感じている方は、透析中や外来の際に、どうぞ遠慮なく医師・看護師・管理栄養士にお声がけください。一人ひとりの検査値や生活スタイルに合わせて、無理のない過ごし方を一緒に考えていきましょう。

よくある質問(FAQ)

  • 透析中ですが、おせち料理は食べないほうがいいですか?

    おせち料理そのものが「食べてはいけないもの」というわけではありません。ただ、塩分やカリウム、リン、糖分が多くなりやすいので、量と頻度を決めて楽しむことが大切です。市販のおせちは味が濃いことが多いため、取り皿に少しずつ盛ってゆっくり食べる、しょうゆを追加しない、煮汁を飲まないなど、小さな工夫を意識してみてください。

  • お雑煮はどのくらいまでなら大丈夫でしょうか?

    お雑煮は、汁の量・味付け・もちの個数によって負担が変わります。「汁はお椀の半分以下、飲む量も数口まで」「もちの個数は1〜2個まで」など、自分に合った目安を主治医や管理栄養士と決めておくと安心です。透析と透析の間隔が長くなる日は、普段より慎重に調整しましょう。

  • 年末年始に、透析の間で体重が増えすぎたらどうすればいいですか?

    いつもより体重増加が大きい、むくみや息切れが強い、動悸があるといった場合は、自己判断で様子を見るのではなく、早めに透析施設や主治医に相談してください。軽い食べすぎ・飲みすぎであっても、翌日は塩分と水分を意識して控えめにし、体重や血圧をこまめにチェックすることが大切です。ただし、極端な食事制限や水分ゼロなどの無理な調整は、かえって体調を崩す原因になることもあるため、医療者のアドバイスに沿って調整しましょう。

  • おもちを食べると、血糖値が心配です。どうしたらいいですか?

    もち1個あたりのエネルギーは意外と高く、特に糖尿病を合併している方では血糖値への影響が出やすくなります。「1日何個までなら良いか」「食べる日はほかの主食をどのくらい減らすか」など、あらかじめ主治医や管理栄養士と目安を決めておくと安心です。食べるときは、一気にたくさんではなく、ゆっくりよく噛んで味わうようにしましょう。

  • アルコールはどの程度までなら飲んでも大丈夫ですか?

    アルコールの可否や量の目安は、心臓病・肝臓病・糖尿病などの有無、残っている腎機能、服用中の薬によって大きく変わります。「透析中でもこの量なら安全」と一律に言うことはできません。年末年始に飲酒を考えている場合は、必ず事前に主治医に相談し、許可された範囲内でゆっくり少量を楽しむようにしてください。

  • 高齢の家族が透析中で、親族が集まる予定です。周りはどんなことに気をつければいいですか?

    まずは、ご本人や透析施設から「塩分・水分の目安」「控えたい食品」「体重増加の目安」などを聞いておくと安心です。そのうえで、塩分控えめのメニューを1〜2品用意する、取り皿に少しずつ盛る、“もう少しどう?”と無理にすすめない、といった配慮があると、ご本人も気兼ねなく食卓を楽しみやすくなります。席はトイレに行きやすい場所や、立ち座りしやすい位置にするなど、体力面のサポートも意識してあげてください。

  • これから透析が始まる予定で、ちょうど年末年始と重なりそうです。不安なとき、事前に何を確認しておけばいいですか?

    初めての透析が年末年始に重なる場合は、①年末年始の透析スケジュール(休診日や時間の変更)②食事と水分の具体的な目安③体重増加の許容量④体調が悪くなったときの連絡先と対応時間⑤旅行や帰省の予定がある場合の注意点──といったポイントを、事前に医師・看護師・管理栄養士に確認しておくと安心です。「こんなこと聞いていいのかな」と遠慮せず、心配に感じていることはそのまま言葉にして伝えてください。医療チームと一緒に、年末年始も含めた透析生活のイメージを共有しておくことが大切です。

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