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コラム

知識透析

お口から守る全身の健康|透析と口腔ケアの基本

お口から守る全身の健康|透析と口腔ケアの基本

透析患者さんにとって「お口のケア」は、見た目や口臭だけではなく、誤嚥性肺炎や心臓・血管の病気などを防ぐうえでも大切なケアです。透析やお薬の影響で唾液が減りやすく、虫歯・歯周病・口臭が進みやすい方も少なくありませんが、毎日のセルフケアと、定期的な歯科受診を組み合わせることで、トラブルを早めに見つけやすくなります。

このコラムでは、40〜80代の透析患者さんとご家族に向けて、「今日から見直せる口腔ケアのポイント」と「歯医者さんに伝えておきたいこと」を整理してお伝えします。内容は一般的なお話なので、実際の治療やお薬については、必ず主治医や歯科医師の指示を優先してください。

なぜ透析患者さんは「お口のケア」が大切なのか

透析患者さんでは、腎臓病そのものの影響に加え、糖尿病・高血圧・心臓病などを同時に抱えていることも多く、体の抵抗力が下がりやすい状態になっていることがあります。

さらに、服用している薬や水分制限の影響で口が乾きやすくなり、唾液の自浄作用が弱まると、歯周病菌などの細菌が増えやすくなります。歯周病が進行すると、歯ぐきから血が出るだけでなく、血液を通じて全身に炎症が広がり、心血管のトラブルや誤嚥性肺炎などのリスクにも関係すると言われています。

もちろん、すべての方に同じことが起こるわけではありませんが、「腎臓が悪いからこそ、お口の環境も一緒に守る」という考え方が大切です。

毎日チェックしたい「足のサイン」

難しいことをしなくても、入浴や着替えのタイミングで足を「見る・触る」といった習慣をつけるだけで、早めに変化に気づけるようになります。鏡を使ったり、ご家族に手伝ってもらったりしながら、次のようなポイントを意識してみましょう。

毎日のセルフケアで押さえたいポイント

難しいことを新しく始めなくても、「今の歯みがきと義歯のケアを、少しだけていねいにする」ことからで十分です。

ケアの項目 目安となる頻度 ポイントの例
歯みがき 朝・夜(できれば毎食後) 歯と歯ぐきの境目を意識し、1本ずつ小刻みに動かす
補助用具(歯間ブラシ・フロス) 1日1回を目標に ひび割れ・じくじくした傷・水ぶくれ・強い乾燥
入れ歯の洗浄 毎食後に水洗い+寝る前 外してブラシでみがき、義歯洗浄剤を併用する
舌のクリーニング 1日1回程度 舌ブラシなどで軽くなでる程度にし、こすりすぎない
うがい 食後・就寝前など 水や薄めのお茶で口の中をさっとすすぐ

「全部やらなきゃ」と思うと続きません。まずは「夜だけは歯間ブラシを使ってみる」「入れ歯だけでも毎晩外して洗う」など、できそうなところから始めていきましょう。

入れ歯(義歯)を使っている方の注意点

入れ歯は、噛む力を補う大切な道具ですが、お手入れが不十分だと、口臭や口内炎、カンジダなどの感染を起こしやすくなります。特に夜間もつけっぱなしにしていると、粘膜が休めず、細菌やカビが増えやすい環境になってしまいます。寝る前にはいったん外して、専用ブラシと義歯洗浄剤などで汚れを落とし、よくすすいでから保管する習慣をつけましょう。

入れ歯安定剤を使う場合は、厚く塗りすぎると残りやすく、かえって不衛生になることがあります。「最近ゆるい」「噛むと痛い」と感じたときは、自分で削ったり曲げたりせず、調整を歯科に相談してください。

歯科受診のタイミングと、伝えておきたい情報

「痛くなってから歯医者に行く」と、治療が大がかりになりやすく、通院回数も増えてしまいます。透析患者さんでは、抜歯や出血を伴う処置の前後に、透析のスケジュールやお薬の調整が必要になることもあるため、「定期的にチェックして、問題が小さいうちに対処する」ことが大切です。 歯科受診のときに伝えておきたいこと

歯科受診のときに伝えておきたいこと

  • 小さな傷が数日たってもよくならない、じくじくしてきた
  • かかとのひび割れが深くなり、血がにじむことがある
  • 指先や足の一部が赤く腫れて熱を持っている、痛みが強い
  • 片側の足だけ急に冷たくなった、色が白っぽい・紫っぽい
  • 爪の周りが赤く腫れて痛い、膿が出てきた

「透析日とその前後は、どのタイミングで歯科治療を入れるのがよいか」「抜歯が必要な場合の注意点」などは、歯科と透析施設で情報を共有しながら決めていくこともあります。予約のときに「透析中なのですが」とひと言添えておくと、スケジュール調整がしやすくなります。

口の乾き・口臭が気になるときの工夫

透析や水分制限の影響で、「一日中口が乾いている」「口臭が気になる」と感じる方もいます。大切なのは、ガムやのど飴などでごまかすだけでなく、原因になっているお口の環境を一緒に整えていくことです。

水分制限がある場合でも、うがいやこまめな口すすぎは、少ない量であれば取り入れやすいことが多いです(制限の内容によって異なるので、事前に主治医に確認してください)。唾液の出やすいポイントを軽くマッサージしたり、よく噛んで食べる習慣をつけたりすることも、口の乾き対策の一つです。

口臭が強いと感じるときは、歯周病や舌苔、入れ歯の汚れなどが隠れていることもあるため、「恥ずかしいから」と我慢せず、歯科で相談してみましょう。

まとめ:まとめ:お口のケアは「自分のからだを守る投資」/h3>

透析患者さんにとって、口腔ケアは単なる“身だしなみ”ではなく、全身の健康を守る大事な一歩です。忙しい毎日の中で、歯みがきや入れ歯の手入れを完璧にこなすのは簡単ではありませんが、「夜だけは少し時間をかける」「月に1回は歯の状態を意識して見る」など、小さな工夫からでも十分です。

当クリニックでは、歯科受診のタイミングや、お薬の飲み合わせなどについてのご相談もお受けしています。「どの歯医者さんに行けばいいか分からない」「抜歯が必要と言われたけれど不安」といったお悩みがあれば、透析中や外来の際に、どうぞ遠慮なく医師・看護師にご相談ください。

一人ひとりの持病や生活スタイルに合わせて、無理のないお口のケア方法を一緒に考えていきましょう。

よくある質問(FAQ)

  • 透析中でも、歯医者さんには通ったほうがいいですか?

    はい、歯や歯ぐきの状態を定期的に見てもらうことで、大きなトラブルを防ぎやすくなります。透析中であることを伝えたうえで、無理のない頻度を相談してみてください。

  • 歯みがきは電動ブラシと普通のブラシ、どちらがいいですか?

    どちらにも良さがあり、使いやすさや手の力に合わせて選ぶとよいです。強く押しつけず、歯と歯ぐきの境目をていねいにみがくことが大切です

  • 入れ歯は寝るときもつけておいたほうがいいですか?

    多くの場合、夜は外して粘膜を休ませ、清潔を保つことがすすめられます。かみ合わせなどで例外もあるため、必ず担当の歯科医師の指示を確認してください。

  • 口の乾きが強いとき、水をたくさん飲んでもいいですか?

    水分制限がある方は、自己判断で量を増やすのは危険な場合があります。うがいや少量の水分での工夫、唾液マッサージなども含めて、主治医に相談しましょう。

  • 歯ぐきから少し血が出る程度なら、様子を見ていても大丈夫ですか?

    歯周病の初期に見られるサインのこともあります。毎回出血する、回数が増えてきたと感じたら、早めに歯科でチェックしてもらうと安心です。

  • 透析日と歯科治療の日は、どう組み合わせればいいですか?

    抜歯など出血を伴う処置では、透析とのタイミング調整が必要になることがあります。予約の時点で透析曜日を伝え、主治医と歯科医師の両方に相談してください。

  • どの歯医者さんに行けばいいか迷っています。どう選べばよいですか?

    まずは透析施設の医師や看護師に、近隣の歯科情報や連携先を聞いてみるのがおすすめです。通いやすさや説明の分かりやすさも、大事なポイントになります。

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