2026.2.9 知識透析
発熱や体調不良のときどうする?|透析と上手につき合う判断と準備のポイント

熱が出たり、咳やおなかのトラブルが出たりすると、「今日は透析を休んだほうがいいのかな?」と迷う方が多いと思います。ただ、自己判断で透析を中止してしまうと、かえって体調を崩すきっかけになることもあります。
大切なのは、「体調不良=透析をあきらめる」ではなく、「状況を整理して、早めに透析施設に相談する」ことです。この記事では、40〜80代の方を想定して、発熱や風邪症状が出たときにチェックしておきたいポイントと、スムーズに相談・受診につなげるコツを整理します。内容は一般的なお話ですので、実際の対応は必ず通院中のクリニック・病院の方針と主治医の指示を優先してください。。
体調不良が透析に与える影響とは?
透析は、決められた回数と時間で続けることが前提の治療です。そこに発熱・嘔吐・下痢・強いだるさなどが重なると、「透析を受けても大丈夫なのか」「行く途中で倒れないか」と不安になりやすくなります。一方で、透析を飛ばしてしまうと、体内の水分や老廃物が過剰にたまり、息切れ・むくみ・血圧上昇など、別の体調不良を引き起こすおそれもあります。感染症の場合は、透析室で他の患者さんやスタッフにうつさない配慮も必要になるため、「行く・行かない」を一人で抱え込まず、「行きたいけれど体調がこうです」と正直に伝え、施設側の判断を仰ぐことがとても大切です。
体調が悪いときに確認してほしいこと
電話をかける前に、ざっくりで構わないので「今どんな状態か」を整理しておくと、透析施設に状況を伝えやすくなります。
チェックしておきたいポイント(例)
| 項目 | 確認しておきたい内容の例 |
|---|---|
| 熱 | 何度くらいか、いつから続いているか |
| 呼吸・胸の症状 | 息苦しさ・咳・胸の痛みの有無、階段や歩行で悪化するか |
| 消化器症状 | 吐き気・嘔吐・下痢・食欲低下などがあるか |
| 全身の状態 | 強いだるさ・フラフラ感・頭痛・筋肉痛など |
| 最近の透析状況 | 最後に透析を受けた日・体重増加の状態・むくみや息切れがないか |
| 服薬状況 | 解熱剤や市販薬を飲んだかどうか、持病の薬はいつも通り飲めているか |
このような情報をメモしてから電話すると、「受診が必要か」「透析時間をどう調整するか」といった判断がスムーズになりやすくなります。
透析施設に連絡するときのポイント
体調不良のときは、「自力で来られそうかどうか」と同じくらい、「事前連絡ができるかどうか」も重要なポイントです。当日いきなりキャンセルするより、できるだけ早いタイミングで連絡しておくと、透析室側も受け入れ態勢や他の患者さんへの配慮を考えやすくなります。
電話では、「名前」「透析の予約時間」に加えて、先ほどのチェック項目をまとめて伝えるとよいでしょう。「行ったほうがいいならがんばって行きたいが、本当に大丈夫か心配」「付き添いが必要そうだ」といった不安も、そのまま言葉にして構いません。場合によっては、透析施設から内科や救急外来への受診、別の日や別の時間への透析変更を提案されることもあります。
発熱・咳・下痢など、症状別に意識したい点
細かな判断は医師に任せるとして、ここでは症状ごとの「意識したいポイント」を簡単に整理しておきます。
症状別・注意したいポイント(例)
| 項目 | 気をつけたいポイントの例 |
|---|---|
| 発熱(微熱〜高熱) | いつから続いているか、解熱剤でどう変化するか、ふるえや寒気の有無 |
| 咳・息切れ | 就寝中や会話中にも出るか、痰の色や量、胸の痛みがないか |
| 下痢・嘔吐 | 回数・量・水分がとれているか、体重が急に減っていないか |
| 強いだるさ・筋肉痛 | 風邪に似た症状があるか、動けないほどかどうか |
| 風邪に似た症状が数日続く | 食事・水分・服薬がいつも通りできているか |
これらはあくまで目安で、同じ症状でも人によって緊急度は変わります。「どこまで様子を見ていいか分からない」と感じたら、その時点で一度相談の電話を入れておくと安心です。
普段からできる“体調不良の準備”
いざ具合が悪くなったときに慌てないためには、元気なときから少しずつ準備をしておくことが大切です。
体調不良のときに役立つ準備(例)
- 透析施設・主治医・夜間・休日の連絡先を、1枚のメモにまとめて冷蔵庫や電話の近くに貼る
- 体温計・マスク・経口補水液(制限に応じて)・ティッシュなどをひとまとめにしておく
- 家族や近所の人に「具合が悪いとき誰に連絡してほしいか」を共有しておく
- 日頃から体重や血圧、むくみの状態をメモしておき、「体調が良いとき」の基準を把握しておく
こうした“小さな準備”ができていると、いざというときにも「何をどうすればいいか」が見えやすくなります。
まとめ:体調不良は「一人で抱え込まず、早めに共有」がいちばんの安心材料
発熱や風邪症状があるとき、「自分の判断が間違っていたらどうしよう」と不安になるのは、ごく自然なことです。大切なのは、一人で決めてしまうのではなく、「今こういう状態です」と早めに伝え、透析チームと一緒に判断していくことです。
体調不良があっても、工夫しながら透析を続けるほうが良い場合もあれば、別の検査や治療を優先したほうが良い場合もあります。その分かれ目を見極めるためにも、普段から検査値や体調について遠慮なく相談できる関係を作っておくことが大切です。
当クリニックでは、「この程度で連絡していいのかな?」という段階からの相談も歓迎しています。少しでも不安があれば、透析中や外来の問診時に、どうぞ気軽に声をかけてください。一人ひとりの状況に合わせて、無理のない対処法を一緒に考えていきましょう。
よくある質問(FAQ)
-
37.5℃くらいの微熱でも、透析施設に連絡したほうがいいですか?
微熱でも体のだるさや咳などがある場合は、事前に連絡しておくと安心です。そのうえで当日の透析をどうするか、一緒に判断してもらいましょう。
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強い下痢や嘔吐があるとき、無理して透析に行っても大丈夫ですか?
脱水やふらつきがあるときは、自己判断で動き回ると危険な場合があります。状態を電話で伝え、受診や透析のタイミングについて指示を仰いでください。
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風邪気味でマスクをすれば、そのまま透析に行っても問題ありませんか?
軽い症状でも、あらかじめ施設に症状を伝えておくことが大切です。マスクの着用とあわせて、待合スペースやベッド位置の配慮をしてもらえる場合もあります。
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解熱剤を飲んでから透析に行ってもいいですか?
使っている薬によって注意点が異なります。自己判断で市販薬を追加する前に、主治医や薬剤師に確認しておくとより安全です。
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発熱があるときに透析を休むと、どんなリスクがありますか?
透析の間隔が空きすぎると、水分や老廃物がたまりやすくなります。休むかどうかは自分で決めず、必ず医療者と相談して判断しましょう。
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体調不良の相談は、透析当日の朝に電話しても間に合いますか?
当日の連絡でも対応してもらえますが、分かった時点で早めに連絡しておくほうが、スケジュール調整がしやすくなります。
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一人暮らしで、具合が悪くなったときが心配です。何か準備しておくべきですか?
連絡先リストの作成や、近くに住む家族・友人・ケアマネジャーなどとの連絡方法を決めておくと安心です。「具合が悪いときはここに電話してほしい」と、事前に共有しておきましょう。
