2025.10.31 家族知識
家族にできるサポートとは 透析を支えるちょうどいい距離感

家族の支えは治療を続ける力になりますが、近づきすぎても離れすぎても負担が大きくなります。
この記事では、透析を受ける方と家族が無理なく続けられるちょうどいい距離感を、生活の場面別に分かりやすく整理します。
家族が知っておきたい透析の基本
透析の仕組みや目的を家族が共有しておくと、サポートの方向性がぶれにくくなります。
| 分類 | 持ち物 | ポイント | 
|---|---|---|
| 用語 | 家族向けの簡単な意味 | 生活でのポイント | 
| 体重増加 | 透析間の水分増加の目安 | 体重と飲水量の記録を一緒に確認 | 
| 血圧 | 体調の指標の一つ | 家で測った値をノートやアプリに残す | 
| カリウム・リン | 食事で増えやすい電解質 | 食材の選び方と調理の工夫を共有 | 
| シャント部 | 透析に使う血管の出入口 | 重い荷物を避け、こすれや圧迫に注意 | 
目的を同じ言葉で共有する
透析は体内の老廃物と余分な水分を取り除く治療であり、毎日の暮らしの工夫と合わせて安全性を高めていく取り組みであることを家族内で共通理解にしておきましょう。
情報の置き場所を一つに
通院予定、服薬、緊急連絡先、体重・血圧の記録などを一冊のノートや共有アプリに集約しておくと、サポートがスムーズになります。
ちょうどいい距離感の作り方
手を出しすぎず、放っておきすぎないバランスが長続きのコツです。
チェックリスト
- 本人ができることは任せ、困ったときに手を貸している
- 生活の選択は本人の意思を尊重している
- 体調や数値の共有は決まったタイミングで行っている
- 助け方に正解を求めすぎず、試行錯誤を許容している
見守りの基本
日々の調子を確認しつつ、具体的な助けは本人の要望に合わせて行います。
声かけのコツ
指示ではなく提案の形で伝えると受け入れやすくなります。例えば塩分を控える時は別添えや香味を提案します。
任せる勇気
できることを本人に任せることで自立が保たれ、家族双方の負担が軽くなります。
毎日の暮らしで役立つ具体的サポート
場面ごとに小さな工夫を足すだけで、負担は着実に軽くなります。
| 場面 | 家族のサポート | 注意ポイント | 
|---|---|---|
| 食事 | 香味やだしで薄味を補い、ソースは別添え | カリウムとリンの多い食材は量と頻度を調整 | 
| 水分 | 氷やうがいで渇きをやわらげる | 一気飲みを避け、少量を分けて摂る | 
| 通院 | スケジュールの共有と送迎の分担 | 当日の体調を短くメモしてスタッフに伝達 | 
| 記録 | 体重・血圧・むくみ・睡眠を一緒に記録 | 数値で責めず、変化に気づく道具として使う | 
困ったときのコミュニケーション術
意見が食い違ったときほど、伝え方と聴き方の基本に戻ります。
3ステップで合意形成
伝え方
評価や命令にならない言い回しを心がけ、提案と確認の流れで進めます。
聴き方
最後まで遮らずに聴き、言い直しや沈黙にも時間を使います。
合意の確認
合意した内容はノートやアプリに残し、次の通院でスタッフと共有します。
家族も無理をしないセルフケア
家族の元気はサポートの持続力そのものです。自分を後回しにしすぎない工夫を入れましょう。
行動リスト
- 週に一度は家族以外の相談先に話す(看護師・栄養士・地域窓口)
- 気分転換の予定を先にカレンダーへ入れる
- 役割を分担し、完璧を求めすぎない
相談窓口の活用
気になる変化は早めに医療スタッフへ相談し、家庭内だけで抱え込まないようにします。
休息のルール化
短時間でも休む時間を確保し、睡眠の質を守ります。
分担の明文化
やることリストを共有して、誰が何をするかを明確にします。
よくある質問(FAQ)
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サポートが口うるさく感じられてしまいます。どうしたらいいですか?提案と確認の形に言い換え、選択肢を二つに絞って一緒に決めましょう。今日の声かけを提案型に一つ置き換えてみてください。 
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食事の制限を家族の誰も守れず、雰囲気が悪くなります。味を後から調整する方法にして、同じメニューで楽しめる形を作りましょう。ソース別添えを今日から試してみてください。 
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水分の我慢が続かず、つい飲みすぎてしまいます。氷やうがいで渇きを和らげ、飲む量は小分けにしましょう。コップを小さくして回数を増やしてみてください。 
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記録が続きません。完璧を求めず一言メモで十分です。体調を丸と三角とバツの三段階で残してみましょう。 
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家族内で意見が割れる時の落としどころは。事実と数値を共有し、選択肢を二つに絞って合意を作りましょう。➡︎ 合意内容はノートに残してください。 
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サポートに疲れてしまいます。休息の予定を先に入れ、相談先を確保しましょう。次回の通院で看護師へ相談の時間を取ってください。 
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本人が任せてくれません。頼られ方にも好みがあります。できることと頼みたいことを一緒に書き出し、役割を分けてみましょう。家族会議を15分だけ設定してください。 
