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透析患者さんの冬〜春の体調管理|今から春先までに気をつけたいポイント

透析患者さんの冬〜春の体調管理|今から春先までに気をつけたいポイント

透析患者さんにとって、冬の終わりから春先にかけては「体調を崩しやすい季節」です。朝晩と日中の寒暖差、花粉や黄砂などの影響、血圧や体重の変動、感染症の流行など、いくつもの要素が重なりますが、毎日のチェックポイントを少し意識するだけでも、トラブルを早めにキャッチして悪化を防ぎやすくなります。

特別なことを増やす」より、「すでにやっていることを春仕様に整える」というイメージで、今から春先までの過ごし方を一緒に整理してみましょう。ここでお伝えする内容は一般的なお話ですので、最終的な判断や具体的な治療については、必ず主治医・看護師・管理栄養士と相談しながら進めてください。

冬から春にかけて体調を崩しやすい理由

冬から春への変わり目は、朝晩は冷えるのに日中はやや暖かい日が増え、「寒いような、暖かいような」状態が続きます。こうした寒暖差は血管の収縮や拡張を繰り返す原因になり、血圧が上下しやすくなります。

また、空気の乾燥が続く一方で、花粉や黄砂が飛び始めるため、喉や鼻の粘膜がダメージを受けやすく、風邪や気道感染も起こりやすい季節です。透析患者さんの場合、もともと心臓や血管に負担がかかりやすかったり、感染症にかかったときに重症化しやすかったりすることがあるため、「少しの変化」を軽く見ないことが大切です。

さらに、年度末や新生活準備などで生活リズムが乱れ、睡眠不足や食生活の変化が重なると、体調が崩れやすくなります。「冬の疲れを引きずったまま春を迎えない」ためにも、今のうちから自分の体調のクセを振り返っておきましょう。

今から春先までに押さえたい3つのポイント

冬〜春にかけて気をつけたいことは多くありますが、ここでは「これだけは意識したい」という3つにしぼってご紹介します。

① 体重・血圧・むくみを“いつもと違う”で終わらせない

冬から春にかけては、外気の変化や運動量の増減で、透析間の体重増加や血圧に変化が出やすい時期です。「最近少し体が重い気がする」「夕方になると靴がきつい」「透析前の血圧が前より高く(低く)なった気がする」といった小さな違和感を、そのまま流さず数字でも確認しておくと、トラブルの早期発見につながります。

毎日チェックしておきたい項目の例

チェック項目 見るタイミングの例 気になったときに伝えたいことの例
体重 朝起きてすぐ/透析前後 透析間で何kg増えたか、最近の増え方の傾向
血圧 朝・夜、可能なら透析前後 上下の値・脈拍、頭痛やふらつきの有無
むくみ 足の甲・くるぶし・指輪のきつさなど いつから・どの時間帯に強いか、左右差があるか
息切れ・動悸など 階段・歩行時・就寝前 どのくらいの動きで苦しくなるか、前と比べてどうか

気になる変化が続くときは、「自分ではこのくらい大丈夫だと思ったけれど、念のため相談させてください」と一言そえて、透析中や外来のときに医師・看護師に伝えてみましょう。

② 花粉症・風邪症状と上手につき合う

春先は、花粉症の症状や軽い風邪が長引きやすい時期です。「ただの花粉症だから」「毎年のことだから」とがまんしているうちに、睡眠不足や食欲低下で体力が落ちてしまうこともあります。

市販薬のなかには、眠気が強く出たり、口の渇きが強くなったりするものもあり、透析患者さんにとっては注意が必要な場合もあります。自己判断で薬を増やしたり飲み合わせを変えたりせず、「花粉症の薬を使いたいときは、腎臓の状態に合うものを教えてほしい」と、主治医や薬剤師に相談しておきましょう。

マスク・メガネ・帽子などで花粉が体に入る量を減らすことも、薬に頼りすぎないための大事な工夫です。

春先の感染症対策のちょっとした工夫

  • 外出から戻ったら、手洗い・うがいをセットにする
  • 人混みではマスクを活用し、長時間の滞在はなるべく避ける
  • のどの痛み・発熱・強いだるさが続くときは、早めに医療機関に相談する
  • 予防接種については、透析施設でタイミングや種類を確認する

③ 体力づくりとシャントを守る日常の工夫

少しずつ暖かい日が増えてくると、「運動を始めてみようかな」と感じる方も多いと思います。透析患者さんにとって、無理のない範囲で体を動かすことは、筋力維持や転倒予防、気分転換にもつながります。

ただし、急に長時間歩いたり、重い荷物を持って遠出をしたりすると、筋肉痛や疲労だけでなく、シャント側の腕や心臓への負担が大きくなることもあります。「今の体力なら、どのくらいの運動から始めるのがよさそうか」「シャント側の腕で避けたほうがよい動きはあるか」などを、透析中に一度相談してみると安心です。

散歩やストレッチを始めるときは、「息が少し弾むくらい」「翌日に疲れを残さない程度」を目安に、回数や時間を少しずつ増やしていきましょう。

春先に増えやすいトラブルとセルフチェック

ここからは、冬〜春にかけて実際に起こりやすいトラブルを、「症状別」に整理してみます。

春先に多いお悩みと受診の目安(例)

気になる症状の例 よくある背景の一例 相談したい目安
夕方になると足がパンパンにむくむ 体重増加・塩分や水分のとりすぎ・運動不足など 数日続く/息切れ・動悸を伴う/体重が急に増える
立ちくらみ・ふらつきが増えた 血圧低下・脱水気味・薬の影響など 転倒しそうになる/意識が遠のく感じがある
夜中に足がつる 電解質バランス・運動不足・冷えなど 頻度が増える/痛みが強い/睡眠に支障が出る
せき・たん・微熱が長引いている 風邪・気道感染・アレルギーなど 息苦しさ・高熱・強いだるさを伴う
花粉症症状(鼻水・目のかゆみなど) 花粉・黄砂・ハウスダストなど 市販薬で対応してもつらい/眠気が強すぎる
食欲が落ちて体重が減ってきている 低栄養・気分の落ち込み・口内トラブルなど 2週間以上続く/明らかな体重減少がある

ここに挙げたのはあくまで一例であり、同じ症状でも原因や必要な対応は人によって異なります。「いつもと違うな」「様子を見ていたけれど続いているな」と感じるときは、透析のついでに医療スタッフに相談してみてください。

まとめ:季節が変わる前に「自分のルール」を決めておく

冬から春にかけては、どうしても体調が揺らぎやすい時期です。ただ、すべてを完璧にコントロールしようとする必要はありません。

大切なのは、「自分にとってここだけは意識しておきたい」というポイントを2〜3個決めておくことです。例えば、「毎朝体重と血圧を記録する」「むくみと息切れだけは必ずスタッフに伝える」「花粉症の薬は自己判断で増やさず、必ず主治医に確認する」など、小さなルールで構いません。

当クリニックでは、季節ごとの体調管理や生活の工夫についても、ご相談をお受けしています。「最近こういう変化がある」「春先が毎年不安」といったお悩みがあれば、透析中や外来の際に、どうぞ遠慮なく医師・看護師・管理栄養士にお声がけください。一人ひとりの検査値や生活スタイルに合わせて、無理のない“冬〜春の過ごし方”を一緒に考えていきましょう。

よくある質問(FAQ)

  • 冬のあいだに体重が少し増えました。春までに急いで戻したほうがいいですか?

    短期間で体重を急激に減らそうとすると、筋肉量が落ちたり、体調を崩したりすることがあります。透析患者さんの場合、「どの体重まで戻すのがよいか」「どのくらいのペースなら安全か」は個人差が大きいため、自己判断で食事量を極端に減らすのはおすすめできません。まずは透析前後の体重の変化や普段の食事内容をスタッフと共有し、無理のない目標を一緒に決めていきましょう。

  • 春先になると血圧が上下しやすくなります。受診の目安はありますか?

    寒暖差の大きい時期は、ある程度の上下は起こりやすいものですが、「頭痛・ふらつき・胸の痛み・息切れ」などの症状を伴う場合や、普段よりかなり高い(低い)値が続く場合は、早めに主治医に相談したほうが安心です。測定した時間帯と数値、症状の有無をメモしておくと、診察時の判断材料になります。

  • 花粉症がつらく、市販薬を増やしたいのですが大丈夫でしょうか?

    市販の花粉症薬の中には、眠気が強く出るものや、腎臓の働きによって体内に薬がたまりやすくなるものもあります。透析中の方が自己判断で量を増やしたり、他の薬と一緒に飲んだりすると、思わぬ副作用が出ることもあるため注意が必要です。「花粉症がつらい」「薬を増やしたい」と感じた段階で、主治医や薬剤師に相談し、腎臓の状態に合った薬や飲み方を確認するようにしましょう。

  • 春から少し運動を増やしたいのですが、透析患者でも大丈夫ですか?

    体力や筋力を維持するうえで、無理のない運動はむしろプラスになることが多いです。ただし、心臓病や足の血管の状態、シャントの部位などによって、「避けたほうがよい運動」や「気をつけたい動き」が変わります。いきなり長時間のウォーキングや激しい運動を始めるのではなく、まずは主治医や看護師に相談し、今の体調に合った内容や回数を一緒に決めてもらうのがおすすめです。

  • 軽い風邪が長引いています。いつ頃受診したほうがいいですか?

    透析患者さんでは、軽い風邪でも長引いたり、気づかないうちに肺炎などへ進行したりすることがあります。「発熱が続く」「せきやたんが増える」「息苦しさ・強いだるさがある」といった症状がある場合や、数日たってもよくならないときは、我慢せず早めに受診してください。透析施設に連絡する際には、症状が出始めた時期や体温、せき・たんの状態などを伝えると、対応がスムーズになります。

  • 夜中に足がよくつるようになりました。透析と関係がありますか?

    夜間のこむら返りは、電解質バランスや運動不足、冷えなど、いくつかの要因が重なって起こることがあります。透析中の方にもよくみられる症状の一つで、「最近回数が増えた」「痛みが強くて眠れない」といった場合は、透析条件や薬の調整が必要になることもあります。いつ・どのくらいの頻度で起きるのかをメモしておき、透析中にスタッフへ相談してみてください。

  • 春先になると気分が落ち込みやすい気がします。どこに相談すればいいですか?

    季節の変わり目や環境の変化が重なる春先は、気持ちが不安定になりやすい時期でもあります。眠れない日が続く、何をするのもおっくうになる、以前楽しめていたことが楽しめない──といった状態が続くときは、「心の疲れ」がたまっているサインかもしれません。まずは、透析施設の医師や看護師に、今感じていることをそのまま話してみてください。必要に応じて、心の専門家や相談窓口を紹介してもらえることもあります。一人で抱え込まず、「少し変だな」と感じた段階で共有していただくことが大切です。

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