2026.11.3 食生活
腎臓病の減塩調味料選び|カリウムと表示を確かめるポイント
「塩分を減らしたくて減塩タイプを選んだのに、カリウムにも注意が必要と言われた」。腎臓病の食事では、体によいと思って選んだ商品が自分にも合うのか、迷うことがあります。減塩調味料はすべて同じ成分ではありません。表面の「減塩」の文字だけで判断せず、原材料、栄養成分、実際に使う量を確認する方法を一緒に整理しましょう。
減塩とカリウムの確認は、別々に考えます
ナトリウムを減らす方法は商品によって違います
食塩の主な成分は塩化ナトリウムです。減塩の商品には、ナトリウムの一部を塩化カリウムに置き換えて塩味を保つものがあります。一方、カリウムへの置き換え以外の方法で塩分を減らしている商品もあります。「減塩だからカリウムが多い」「減塩なら誰でも使える」という決め方はできません。
腎機能が低下すると、余分なカリウムを体外へ出しにくくなることがあります。血液中の値や薬の影響によって、摂取量の調整が必要です。腎臓病がある方は、塩の代替品を使う前に主治医や看護師などの医療スタッフへ確認してください。米国CDC:糖尿病と腎臓病の食事(英語)
確かめたいのは「自分に合う商品か」
減塩という取り組みそのものをやめる必要はありません。カリウムへの注意が必要かを確認し、その条件で続けられる味付けを探しましょう。
検査値と食べ方を合わせて相談します
食事の調整は、保存期CKDか透析中かという違いだけでなく、現在の検査結果や食事量でも変わります。以前もらった説明が今も同じか迷ったときは、次の診療で確かめてください。家族と同じ商品を使っていても、同じ量が合うとは限りません。
「気をつけることが増えて、何も食べられない気がする」という不安も相談の対象です。自己判断で食品を次々に減らす前に、普段よく使う調味料を一つ選んで見直す方法があります。食事の楽しみと必要な栄養を保つことも大切にします。
買う前は、表示と使い方を四つの点で確かめます
| 確認する場所 | 見るポイント |
|---|---|
| 原材料名 | 塩化カリウムなどの記載があるか |
| 栄養成分表示 | 食塩相当量と、記載があればカリウム量 |
| 表示の単位 | 100g当たり、大さじ1杯当たりなど、何の量に対する値か |
| 普段の使い方 | 一食に何回、どのくらい使っているか |
「何%減」より、使う量に換算して比べます
同じ減塩表示でも、比較している商品や一回分の量が違うことがあります。食塩相当量を見るときは、表示の単位をそろえましょう。例えば、ある商品の表示が「大さじ1杯当たり」なら、小さじで使う場合との違いも確認します。計算に自信がなければ、ラベルと使っているスプーンを写真で見せていただいて構いません。
一回分の塩分が少なくても、物足りなくて使用量が増えれば、減らせる量は変わります。買い替え前後で「何回かけたか」「小皿にどれくらい出したか」を比べると、表示だけではわからない使い方が見えてきます。毎食細かく計算し続けるより、よく使う一品から確認すると取り組みやすくなります。
カリウムの記載がないことは、含まれない意味ではありません
日本の栄養成分表示で表示が義務付けられているのは、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量です。カリウムは任意の表示のため、原材料に塩化カリウムが使われていても、栄養成分欄にカリウム量が書かれていないことがあります。記載が見つからないときは、ゼロと考えず、メーカーの情報や問い合わせで確認できるか相談しましょう。消費者庁:栄養成分表示について
容器の表面だけでなく、裏面も撮影しておくと役立ちます。詰め替え用を使っている場合は外袋を捨てる前に残してください。似た名前の商品でも配合が同じとは限らないため、商品を変更したときには新しい表示を確認します。
調味料だけに頼らない、味付けの工夫
香りや酸味を少量から試します
しょうがやしそなどの香り、酢やレモンなどの酸味を使うと、塩味以外の味わいを楽しめます。ただし、これらを自由に大量にとるという意味ではありません。食事の指示に合わせて少量から試し、好みに合うものを探しましょう。市販の合わせ調味料には塩分が含まれることもあるため、別途表示を確認します。
味付けを一度に変えると、ご本人だけでなく作る方も負担に感じることがあります。「まずは卓上で追加する量を量る」「一品だけ香りを生かす」など、続けやすい方法を一つ選んでみてください。食べる量が減ってしまった場合は、我慢を重ねず主治医や看護師へ伝えましょう。
- 卓上で追加する前に、料理を一口味わう
- 調味料を容器から直接かけず、量がわかる器具で出す
- 家族分を一律に変えるのが難しければ、取り分け方を相談する
スープやたれも「使った量」と「食べた量」を確認します
調味料を薄めても、全部飲んだり食べたりすれば、もとの量に含まれる塩分は減りません。汁物や麺のつゆ、煮物の煮汁などは、飲む量も含めて相談します。水分の調整を指示されている場合は、薄めることで水分が増える点にも注意が必要です。
反対に、食事を残すことだけが減塩の方法ではありません。献立や調理の段階で量を調整できるか、ご家庭の作り方に合わせて考えます。食事写真に「たれは別添え」「つゆは残した」などの短い説明を添えると、実際の食べ方を共有しやすくなります。
次の栄養相談には、商品と一食の例を持参しましょう
質問を一つに絞ると相談しやすくなります
「このしょうゆは使えますか」「家族と共用したい」「今の量でよいか」のように、決めたいことをメモしてください。商品名だけでは答えにくくても、検査値、ラベル、使用量がそろうと具体的に考えられます。すでに使っていた場合も、そのまま使用状況をお知らせください。
「毎日記録できなかった」と気にする必要はありません。一食の例や普段の目分量だけでも話の手がかりになります。買い物を担当する方、調理を担当する方が違う場合は、確認した商品や使い方を短いメモで共有すると、家庭で取り入れやすくなります。
食事を変えるときの確認メモ
今の検査結果でカリウムへの配慮が必要か/候補商品の成分は合うか/一回に使う量はどのくらいか。この三点から始めましょう。
体調だけでカリウムの値は判断できません
カリウムが高くても自覚症状がない場合があります。体調がよいから使い放題にする、食事を変えたから処方薬を減らす、といった自己調整は避けてください。米国NIDDK:CKDとカリウム(英語)
強い脱力や動悸などの急な異常がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。息苦しさが強い、意識がおかしいといった場合は、ためらわず119番で救急要請し、商品の確認や記録を優先しないでください。
よくある質問
減塩しょうゆは、どの商品も避けたほうがよいですか?
一律に避ける必要はありません。成分と実際の使用量、現在の検査結果から判断します。使いたい商品のラベルを見せて、ご自身に合う選び方を確認しましょう。
岩塩や天然塩なら、腎臓への負担は少ないですか?
名称や見た目だけでは判断できません。食塩相当量と成分、使う量を確認する点は同じです。「天然」という言葉を、量を増やしてよい理由にしないようにしましょう。
家族が買った商品を、すでに使ってしまいました。
商品と使用量、使った期間を医療者に伝えてください。一度使ったことだけで状態を決めつけず、必要な確認を相談しましょう。急な体調変化があれば受診を優先してください。
減塩の商品に替えたら、量は気にしなくてよいですか?
使用量も大切です。味が薄いと感じて追加していないかを確認し、普段の一食でどれくらい使うかを相談すると、続けやすい調整につながります。
カリウム制限を言われていなくても相談できますか?
はい。必要な配慮は人によって異なります。今の食事指示で何を優先するかを確かめ、不要な制限を増やさずに商品を選ぶためにもご相談ください。
当院で透析を受けている方は、透析の際に主治医や看護師へお声がけください。保存期の腎臓病で通院を検討している方は、当院の腎臓内科でご相談いただけます。調味料のラベルや普段の食事がわかるものをお持ちください。内科の受診は、お電話のみ・診療希望日の前日までの予約制です。透析のご相談・お問い合わせは、お電話またはメールで受け付けています。診療時間・休診日はアクセスページでご確認ください。
※本記事は、当院で食事についてよくいただくご相談を整理したものです。食事制限の内容は患者様ごとに異なるため、具体的な食事内容は主治医や看護師などの医療スタッフにご相談ください。
