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透析患者の食事は家族と同じでいい?取り分け・味付け・献立の工夫

透析患者の食事は家族と同じでいい?取り分け・味付け・献立の工夫

朝は本人用の減塩おかずを別に一品、昼は家族用と二種類の主菜、夜はまた別の鍋を出して洗い物が二倍。透析を受けるご家族のために毎食別メニューを作り続けて疲れてしまった、というご相談を当院でも多くいただきます。結論からお伝えすると、多くのご家庭では、家族と同じ献立から取り分ける工夫で食事管理を続けられます。

別メニューを完璧に作り続けることよりも、薄味を出発点にして「味付け・調理順・盛り付け量」を少し変えるほうが、無理なく長く続きます。この記事では、同じ食卓を囲みながら透析の食事管理を続けるための取り分けの考え方を、当院でよくいただくご相談をもとに整理します。

毎食の別メニューは、続けなくても大丈夫です

透析の食事管理と聞くと、「患者さん用の特別食を毎回別に作るもの」と考えがちです。しかし、透析で意識したい塩分控えめでバランスのよい食事は、本来ご家族の健康にとってもプラスになる内容です。献立そのものを分けるより、同じ献立の中で本人に合わせて調整するほうが、作る人の負担も、本人が一人だけ別の料理を食べる寂しさも小さくなります。

比較の視点 毎食別メニュー 同じ献立から取り分け
作る人の負担 買い物も調理も洗い物も二重になりやすい 一度の調理の中でほぼ完結する
続けやすさ 疲れがたまり、中断につながりやすい 習慣になりやすく、外食や惣菜にも応用できる
食卓の雰囲気 本人だけ別の料理になり、孤食感が出やすい 同じ食卓で同じ料理を囲める

「同じ献立」でも、味の濃さと量は本人に合わせます

同じ料理を囲むこと自体は多くの場合問題ありませんが、塩分、カリウム、リン、水分などの管理目標は患者さんごとに異なります。日本透析医学会は、慢性透析患者さんの食塩摂取について1日6g未満を原則としつつ、尿量や体格、透析間の体重増加などに応じて調整する考え方を示しています。何をどこまで控えるかは検査値と体調を見ながら主治医や管理栄養士と決めていく前提で、家庭では「同じ献立を、薄味と量で本人仕様にする」と考えると整理しやすくなります。

頑張りすぎてきたご家族こそ、工夫で楽になれます

これまで別メニューを作り続けてきたご家族の努力は、間違いではありません。ただ、透析の食事管理は何年も続くものです。だからこそ「毎食の丁寧さ」より「続けられる仕組み」を優先してよい場面が多くあります。栄養成分表示を見ながら選べば、市販の惣菜や冷凍食品を組み合わせることも立派な工夫のひとつです。

取り分けは「味付け・調理順・盛り付け量」の3つで考えます

同じ献立から取り分けるときに迷いやすいポイントは、この3つにほぼ集約されます。まず全体を表で整理します。

観点 取り分けの基本 献立での例
味付け 全体を薄味で作り、家族は食卓であとから足す みそ汁は薄めに仕立て、家族は薬味や少量のみそを追加する
調理順 味を決める前、仕上げの前に本人の分を取り分ける 煮物やカレーは調味の前に取り分け、本人の分は薄めに仕上げる
盛り付け量 本人用の器を決めて、量と汁を見える化する 汁物は小さめの椀にし、麺類は汁を残す前提で盛り付ける

味付けは「薄味で作って、食卓で足す」が基本です

濃く作った料理から塩分を引くことはできませんが、薄味に少し足すことは簡単です。だし、酸味、香味野菜、香辛料をきかせると、薄味でも満足感を保ちやすくなります。家族が物足りないときは、しょうゆやソースを料理に「かける」のではなく小皿に出して「つける」と、全体の塩分も増えにくくなります。

調理順は「味を入れる前に取り分ける」とほぼ手間が増えません

味が染み込む煮物やカレーのような料理は、調味料を入れる前に本人の分を取り分けるだけで、薄味版が同時にできあがります。カリウムの管理が必要な方では、野菜やいも類を下ゆでする、水にさらすといった工夫でカリウムを減らせることが知られています。ただし、どこまで必要かは検査値によって異なります。一律に毎回行うのではなく、ご本人に必要な範囲を主治医や管理栄養士に確認しておくと、調理の手間も最小限で済みます。

盛り付け量は「本人用の器」を決めて調整します

同じおかずでも、盛り付ける量と汁の量によって、塩分や水分、カリウムのとり方は変わります。本人用の茶碗、椀、コップを決めておくと、毎回計量しなくても「いつもの量」を保てます。麺類は汁を残す前提で盛る、鍋ものは取り皿によそって汁を切ってから食べる、といった小さな工夫の積み重ねが、無理のない管理につながります。

取り分けを定着させる小さなコツ

  • 調理は「全体を薄味」が出発点。濃くする調整は食卓で各自が行う
  • 取り分け用の小鍋や本人用の器をあらかじめ決めておくと迷わない
  • 「下ゆでは必要か」「汁物は1日何杯までか」など迷った点はメモして、次の診察や相談時に確認する

「控える」だけでなく「しっかり食べる」ことも同じくらい大切です

透析の食事管理では制限ばかりが注目されがちですが、食事量が減って低栄養になることも、体力や生活の質に関わる大切な問題です。透析ではたんぱく質などの栄養素が失われるため、エネルギーとたんぱく質を適切にとることも重視されています。当院では「しっかり食べて、適度な運動、充分な透析を」という考え方を大切にしており、食べる楽しみを削りすぎないことも食事管理の一部だと考えています。

取り分けで薄味にした結果、ご本人の食が進まなくなっては本末転倒です。香り、温度、彩りで食欲を支えながら、透析間の体重増加や検査値が安定しているかをセットで確認しましょう。なお、むくみや息苦しさ、意識がぼんやりするなどの変化があるときは、食事の工夫で様子を見ず、すぐに医療機関を受診してください。

家族だけで抱え込まず、記録と一緒にご相談ください

取り分けや味付けの大枠は家庭で工夫できますが、塩分やカリウムなどの個別の目標値、下ゆでの要否、食事量の評価は、検査値と体調を踏まえた判断が必要です。迷ったまま自己流を続けるより、早めに相談するほうが工夫の精度も上がります。

相談したい場面 カリウムやリンなどの検査値や透析間の体重増加が安定しない、食欲が落ちてきた、献立がマンネリ化してきた
持参すると役立つもの 数日分の食事メモ、よく使う調味料や市販品の栄養成分表示、家庭での体重・血圧の記録
当院での相談先 主治医、看護師。管理栄養士への相談が必要な場合のご案内も含めて院内で確認します

食事の相談は「きちんとできていないと指摘されるのでは」とためらう方が少なくありません。当院では、できていない点を探すためではなく、そのご家庭で続けられる形を一緒に探すためにお話を伺います。ご本人だけでなく、毎日の食事を作っているご家族が一緒にお越しいただいても構いません。

この記事のまとめ

  • 毎食の別メニューは前提にしなくてよい。同じ献立からの取り分けが基本
  • 工夫は「味付け・調理順・盛り付け量」の3つの観点で考える
  • 塩分などの目標値や下ゆでの要否は人それぞれ。主治医や管理栄養士と決める
  • 控えるだけでなく、しっかり食べて体力を保つ視点も忘れない

当院では、透析を受けるご本人だけでなく、毎日の食事を支えるご家族からのご相談もお受けしています。「取り分けで本当によいのか自信がない」という段階でも構いません。透析前後の体重や血圧、最近の食事メモをお持ちいただければ、続けやすい形を一緒に整理します。電話は03-5615-1566、予約のご案内は https://www.tokyonext.jp/reservation をご確認ください。

よくある質問

  • 家族とまったく同じ料理を食べても大丈夫ですか?

    献立が同じでも、味の濃さや量、汁の取り方は本人に合わせる必要があります。制限の内容は患者さんごとに異なるため、目安は主治医や管理栄養士に確認してください。

  • 麺類や鍋ものはどう取り分ければよいですか?

    麺類は汁を残す前提で盛り、鍋ものは取り皿によそって汁を切ってから食べると調整しやすくなります。汁物は小さめの椀にすると量を決めやすくなります。

  • カリウムを減らす下ゆでは毎回必要ですか?

    必要かどうかは検査値や食事内容によって異なります。一律に行うのではなく、ご本人に必要な範囲を主治医や管理栄養士に確認すると、手間を最小限にできます。

  • 減塩しょうゆなどの減塩調味料を使ってもよいですか?

    減塩調味料には塩化カリウムを使った製品があり、カリウムの管理が必要な方は注意が要ります。使う前に成分を確認し、主治医や管理栄養士に相談してください。

  • 食事作りに疲れてしまいました。手を抜いてもよいでしょうか?

    長く続けるための工夫は手抜きではありません。栄養成分表示を見ながら惣菜や冷凍食品を組み合わせる方法もあります。負担が大きいときは、その状況ごとご相談ください。

※本記事は、当院で食事についてよくいただくご相談を整理したものです。食事制限の内容は患者様ごとに異なるため、具体的な食事内容は主治医や管理栄養士にご相談ください。

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