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コラム

透析

透析中に足がつるのはなぜ?こむら返りの原因と除水・体重管理の考え方

透析中に足がつるのはなぜ?こむら返りの原因と除水・体重管理の考え方

「透析中に足がつるのはなぜだろう」――ふくらはぎが突っ張り、痛みで声を上げそうになるこむら返りは、透析中によくみられる症状のひとつです。原因の多くは、除水にともなう体の水分量と電解質の急な変化にあります。この記事では、足がつる仕組みと、除水・体重管理を相談するときのポイントを整理します。

こむら返りは「体質だから仕方ない」と我慢されがちですが、当院では透析条件や体重管理を見直すことで負担を減らせないかを一緒に考えています。つらさを伝えること自体が、治療を整えるための大切な手がかりになります。

透析中に足がつるのは、水分と電解質が短時間で変化するためです

血液透析では、前回の透析から増えた水分を4〜5時間ほどの治療時間で取り除きます。これを除水と呼びます。短い時間で血管の中の水分が減ると、筋肉へ流れる血液が一時的に少なくなり、筋肉が必要以上に縮んだまま戻りにくくなります。これが、透析中のこむら返りの代表的な仕組みです。

こむら返りに関わりやすい3つの要因

  • 除水速度:短い時間で多くの水分を抜くことによる血流の変化
  • ドライウェイト:透析後の目標体重が今の体に合っていないずれ
  • 電解質:ナトリウムやカリウムなど、筋肉の動きに関わる成分の変化

除水速度:体重増加が大きいほど、1回で抜く水分が増えます

透析間の体重増加が大きいと、同じ治療時間でも除水速度が上がります。血管の外から血管の中へ水分が戻ってくる速さには限りがあるため、除水が速いと血管内の水分が不足し、血圧低下や筋肉の血流不足が起こりやすくなります。足のつりが治療の後半に集中する方は、この影響を受けている可能性があります。

ドライウェイト:合わなくなると、必要以上に水分を抜くことになります

ドライウェイトとは、体に余分な水分がたまっていない状態の目標体重のことです。食欲の変化や筋肉量の増減で体格が変わると、設定が実際の体に合わなくなることがあります。低すぎる設定のまま除水を続けると脱水気味になり、足がつりやすくなります。当院では血圧や心胸比(レントゲンで見る心臓の大きさの割合)などを参考に、医師が定期的に見直しています。

電解質:筋肉の「縮む・ゆるむ」のバランスに関わります

ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの電解質は、筋肉が縮んだりゆるんだりする動きの調整に関わっています。透析中はこれらの濃度が短時間で変化するため、筋肉や神経が興奮しやすい状態になり、こむら返りが起こりやすくなることがあります。どの要因の影響が強いかは患者様ごとに異なるため、検査値と合わせた確認が必要です。

足がつったとき・つりやすいときは、我慢せず教えてください

透析中のこむら返りは、対応が早いほど短時間で落ち着きやすくなります。痛みを我慢して治療を終えるよりも、その場でスタッフへ伝えていただくほうが、つらさを減らせるだけでなく、原因の確認にもつながります。

透析中に足がつったときの基本

  • 我慢せず、近くの看護師や臨床工学技士へすぐに声をかける
  • 針が入っている腕は動かさず、姿勢の調整はスタッフと一緒に行う
  • 除水速度の調整や補液などの対応は、その場でスタッフが判断します

夜間や自宅で足がつる場合も、透析と関係していることがあります

こむら返りは透析中だけでなく、透析を終えた日の夜や明け方に起こることもあります。除水後に体の水分が少ない状態が続いていることや、電解質の変化が影響している場合があるためです。いつ、どのくらいの頻度でつるかをメモしておくと、診察時の大切な手がかりになります。

飲水や薬を自己判断で変えると、悪循環になることがあります

「水分をとればつらなくなるのでは」と飲水量を増やすと、透析間の体重増加が大きくなり、かえって除水速度が上がってつりやすくなることがあります。また、こむら返りに使われる漢方薬などには、透析を受けている方では注意が必要な成分が含まれることがあります。飲水量や薬の変更は、自己判断ではなく必ず主治医へご相談ください。

除水と体重管理の相談は、記録があるとスムーズです

こむら返りの相談では、「いつ・どんなときにつるか」と「体重の増え方」をセットで伝えると、原因の見当がつけやすくなります。次の3点を意識してみてください。

伝えたいこと 具体例 役立つ理由
つるタイミング 透析開始から何時間後か、終了間際か、夜間か 除水速度や除水量との関係を確認しやすくなる
体重の増え方 中1日・中2日それぞれの増加量、食事や飲水の変化 除水計画やドライウェイト見直しの材料になる
体調の変化 透析中の血圧低下、ふらつき、食欲や体格の変化 ドライウェイトが合っているかの判断材料になる

当院では、除水の負担をやわらげる治療にも対応しています

当院は全43床が血液透析(HD)、オンラインHDF、間歇補液療法(I-HDF)に対応しています。I-HDFは一定時間ごとに自動的に補液を行う治療で、除水による血圧低下や末梢循環障害の改善効果が期待されます。ただし、すべての方に適しているわけではなく、適応は医師が状態を確認して判断します。足のつりや血圧低下が続く方は、治療条件の見直しも含めて診察時にご相談ください。

次のような症状は、こむら返りと分けて考えます

同じ足の症状でも、歩くとふくらはぎが痛み休むと楽になる、足先が冷たく色が悪い、しびれが続くといった場合は、足の血管や神経の病気が関わっている可能性があります。また、シャント部の腫れや痛み・拍動が感じられない、息苦しさ、胸の痛み、続く激痛がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。

「足がつるのは仕方ない」とあきらめる前に、つらさをそのままお聞かせください。当院では主治医のほか、看護師や臨床工学技士も透析中の体調変化のご相談をお受けしています。除水や体重管理に迷いがある段階でも構いません。電話は03-5615-1566、予約案内は https://www.tokyonext.jp/reservation をご確認ください。

よくある質問

  • 透析中に毎回のように足がつります。慣れるしかないのでしょうか?

    慣れる必要はありません。除水速度やドライウェイトの見直しで軽くなる場合があるため、頻度やタイミングをスタッフへお伝えください。

  • 足がつったとき、自分でもんだり伸ばしたりしてもよいですか?

    針が入っている腕や姿勢に影響することがあるため、まずスタッフへお声がけください。安全な姿勢の整え方を一緒に行います。

  • 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を自分で買って飲んでもよいですか?

    透析を受けている方では注意が必要な成分が含まれる場合があります。市販薬や漢方薬も、使う前に主治医へご相談ください。

  • 水分を多めにとれば、足はつらなくなりますか?

    飲水量を増やすと体重増加が大きくなり、除水速度が上がってかえってつりやすくなることがあります。自己判断での調整は避けてください。

  • 夜中に足がつるのも透析と関係がありますか?

    関係していることがあります。透析後の水分や電解質の状態が影響する場合があるため、起こる時間帯や頻度を記録してご相談ください。

  • 体重の増えを抑えれば、こむら返りは減りますか?

    透析間の体重増加が小さいほど除水速度を抑えやすくなるため、有効な場合があります。塩分や食事の調整は患者様ごとに異なるため、主治医や看護師と一緒に考えましょう。

  • ドライウェイトを変えてほしいと自分から伝えてもよいですか?

    もちろんです。つりやすさ、血圧、体調の変化は見直しの大切な材料です。最終的な調整は血圧や心胸比などをみて医師が判断します。

  • つるのではなく、しびれや痛みが続く場合はどうすればよいですか?

    こむら返りとは別の原因が隠れていることがあります。様子を見すぎず診察時にご相談ください。足先の冷たさや色の変化を伴う場合は、早めの受診をおすすめします。

※本記事は、当院で透析中によく確認する体調変化の目安を整理したものです。症状がある場合は自己判断せず、主治医または医療機関にご相談ください。

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