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夏の脱水・熱中症は腎臓にどう影響する?保存期CKDの予防と受診の目安

夏の脱水・熱中症は腎臓にどう影響する?保存期CKDの予防と受診の目安

気温が上がる季節になると、総務省消防庁の調査では熱中症による救急搬送が全国で毎年数万人規模にのぼります。保存期CKD(まだ透析を始めていない慢性腎臓病)の方にとって、夏の脱水は一時的な体調不良で終わらず、腎機能への負担につながることがある点が気がかりです。この記事では、脱水が腎臓に影響する仕組みと日常の予防、受診を考えたい目安を整理します。

夏の体調管理というと水分補給がまず思い浮かびますが、保存期CKDでは「たくさん飲めば安心」と言い切れないところに難しさがあります。腎機能の状態や服用中のお薬によって適した対応が変わるため、ご自身に合った夏の備えを暑さが本格化する前に知っておくことが大切です。

脱水が進みやすい場面 注意したい理由
暑い日の外出・庭仕事・通勤 汗の量が増え、気づかないうちに体の水分と塩分が失われる
冷房を使わない室内で過ごす 年齢を重ねると暑さやのどの渇きを感じにくく、室内でも熱中症が起こる
発熱・下痢・食欲低下がある日 水分と塩分の喪失に、普段のお薬の影響が重なりやすい

夏の脱水は、腎臓に届く血流を減らして負担をかけます

腎臓は、血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として出す臓器です。安静にしているときでも、心臓から送り出される血液のおよそ5分の1が腎臓に流れ込むとされ、ろ過の働きは十分な血流があって初めて保たれます。脱水で体の水分が減ると腎臓に届く血流も減り、ろ過の働きが一時的に落ちることがあります。

脱水は急性腎障害(AKI)の代表的なきっかけのひとつです

短い期間で腎機能が急に低下する状態を急性腎障害(AKI)と呼び、脱水はその代表的な誘因のひとつとして腎臓の学会のガイドラインでも挙げられています。腎機能が保たれている方では回復することも多い一方、もともと腎機能が低下している方では、回復に時間がかかったり、その後の腎機能の経過に影響したりすることがあります。

保存期CKDでは腎臓の「予備力」が少なくなっています

保存期CKDの腎臓は、働けるネフロン(ろ過の単位)が減り、暑さや脱水といった負荷を受け止める余力が小さくなっています。また、尿を濃縮して水分を節約する力が弱まり、脱水自体が起こりやすくなっている方もいます。さらに血圧のお薬や利尿薬(尿を増やすお薬)を使っている場合は、脱水時に血圧や水分のバランスが大きく動きやすくなります。熱中症で高い体温と大量の発汗が重なると、腎臓を含む全身の臓器に負担がかかるため、保存期CKDの方は「脱水を深くしない」ことが夏の腎臓を守る基本になります。

日常の予防は「水分・暑さ・薬」の3つに分けて整えます

保存期CKDの夏に押さえたい予防の柱

  • 水分:自己判断で大きく増やしたり制限したりせず、自分に合った量を主治医と決めておく
  • 暑さ:冷房や外出時間の工夫で「大量に汗をかく状況」そのものを減らす
  • 薬:食事がとれない日のお薬の扱いを、体調を崩す前に確認しておく

水分のとり方は、腎機能の状態とお薬によって変わります

保存期CKDでは、水分をしっかりとるよう勧められる方もいれば、心臓の状態やむくみのために控えめを指示されている方もいます。一律の正解はないため、「夏はどのくらいを目安にするか」「汗を多くかいた日はどうするか」を診察時に確認しておくと迷いにくくなります。飲むときは一度に大量ではなく、こまめに分けるのが基本です。経口補水液やスポーツドリンクはカリウム・塩分・糖分を含むため、常用せず、使う場面をあらかじめ主治医と決めておくと安心です。

場面 起こりやすいこと 工夫の例
外出・移動 汗による水分・塩分の喪失 涼しい時間帯を選ぶ、日陰で休憩する、飲み物を持ち歩く
室内 気づかないうちに進む脱水と室内での熱中症 温度計を置き、室温の目安を決めて冷房や扇風機を使う
入浴・睡眠 発汗により夜間から朝にかけて水分が減る 起床時にめまいやだるさがないか確認し、長湯を避ける
食事 食欲低下による水分・塩分・栄養の不足 食べられない日が続くときは我慢せず早めに連絡する

食事がとれない日のお薬は、事前の確認が安心につながります

発熱や下痢、食欲低下で食事や水分が十分にとれない日に、普段どおり飲み続けると脱水を強めることがあるお薬があります。利尿薬、一部の血圧のお薬、SGLT2阻害薬(尿に糖を出すお薬)などが知られており、こうした日の扱いはCKDの診療ガイドラインでも注意点として整理されています。自己判断で中止するのも続けるのも避け、「食べられない日はどうするか」を元気なうちに主治医と決めておきましょう。市販の解熱鎮痛薬の一部(NSAIDs)は脱水時に腎臓の血流をさらに減らすことがあるため、使う前の相談をおすすめします。

受診の目安は「次の診察で相談」と「すぐ受診」に分けて考えます

体調の変化に気づいたとき、すべてを緊急と捉える必要はありませんが、待ってよいサインとそうでないサインの区別を知っておくと落ち着いて行動できます。目安を3段階に分けて整理します。

区分 サインの例
次の診察までに相談 のどの渇きが続く、尿の色が濃い日が続く、体重が数日で減っている、足がつりやすい
早めの受診を考えたい めまいや立ちくらみが続く、食事や水分が半日以上とれない、発熱や下痢が続く、尿の量が明らかに減った
すぐに受診 意識がもうろうとする、受け答えがいつもと違う、けいれんがある、自力で水分をとれない、尿がほとんど出ない

「すぐに受診」のサインがある場合は、ためらわずすぐに医療機関を受診してください。夜間や休日であれば救急受診も選択肢です。また、熱中症の症状が落ち着いたあとでも、腎臓への負担は数日たってから検査で分かることがあります。保存期CKDの方は「治まったから大丈夫」と片づけず、かかりつけ医に経過を伝えておくと安心です。

受診や相談のときに伝えたいこと

当院では腎臓内科で保存期CKDの管理に対応しており、夏の水分のとり方、体調を崩した日のお薬の扱い、受診のタイミングなど、判断に迷う段階のご相談も大切にしています。内科の診療は月・火・木・金 9:30〜13:00/15:00〜18:30、土 9:30〜13:00(水・日・祝は休診)で、前日までの電話予約制です。電話は03-5615-1566、予約の流れは https://www.tokyonext.jp/reservation をご確認ください。

よくある質問

  • 夏は水を多めに飲んだほうがよいですか?

    腎機能や心臓の状態、むくみの有無によって適した量が異なります。自己判断で大きく増減せず、夏の目安量を主治医に確認してください。

  • 経口補水液を常備してもよいですか?

    カリウムや塩分を含むため、保存期CKDでは飲んでよい場面と量を主治医と決めておくことをおすすめします。常用は避けましょう。

  • 尿の色が濃いときは脱水と考えてよいですか?

    目安のひとつになりますが、お薬や食事でも色は変わります。体重の変化やめまいの有無と合わせて確認し、続く場合は相談してください。

  • めまいや立ちくらみは熱中症のサインですか?

    脱水のほか、血圧のお薬の効きすぎなど複数の原因が考えられます。繰り返す場合は受診し、原因を確認しましょう。

  • 熱中症の症状が治まれば受診しなくてもよいですか?

    腎臓への負担は遅れて検査値に表れることがあります。保存期CKDの方は症状が治まっても、早めにかかりつけ医へ経過を伝えてください。

※本記事は、当院で夏場の体調管理についてよくいただくご相談を整理したものです。脱水のサインや水分のとり方は腎機能の状態により異なるため、具体的な対応は主治医や当院医師にご相談ください。

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