2026.6.8 食生活
夏の透析で水分と体重増加を整える相談ポイント
夏は汗をかくため、「透析中でも水分を増やしてよいのか」と迷いやすい季節です。のどの渇き、体重増加、塩分、脱水感が重なるため、我慢するだけでも、飲みすぎるだけでも体調を崩しやすくなります。数字と症状を一緒に見ると、必要な相談が整理しやすくなります。
透析中の水分管理は、飲水量だけで決まるものではありません。食事に含まれる水分、塩分、汗、尿量、ドライウェイト、透析間の体重増加を合わせて見ます。この記事では、夏の水分と体重増加を落ち着いて整理する考え方をまとめます。
夏の水分管理で大切なこと
- 「汗をかいたから自由に飲む」ではなく、体重増加で確認する
- のどの渇きは塩分、室温、口の乾燥、血糖なども関係する
- 脱水感や息苦しさなど、相談が必要なサインを知っておく
透析中の水分管理は、体重増加を見ながら考えます
血液透析では、透析後に目標体重であるドライウェイトを設定し、次の透析までに増えた体重を見ながら水分のたまり具合を確認します。水分は飲み物だけでなく、食事、果物、汁物、氷にも含まれます。
| 見ておきたい数字 | 意味 | 相談のポイント |
|---|---|---|
| 透析間の体重増加 | 体に入った水分と出た水分の差を反映しやすい | 中1日・中2日で増え方が違うか |
| 血圧 | 水分過多や脱水傾向の確認材料になる | 透析前後、家庭血圧の変化 |
| むくみ・息苦しさ | 体に水分が多い可能性を考えるサイン | 症状が続く場合は医療者へ相談 |
汗をかく日でも、飲んだ量は体重に表れます
夏は汗で水分が出ている感覚があるため、飲む量が増えやすくなります。しかし、腎機能が低下して尿量が少ない方では、汗で出た分以上に飲むと体に水分が残ります。体重増加の傾向を見ながら、主治医や看護師と目安を調整しましょう。
ドライウェイトは固定ではなく、体調に合わせて見直します
ドライウェイトは血圧、むくみ、心胸比、心エコー所見などを参考に医師が判断します。夏に食事量が落ちる、体重が減る、血圧が下がるなどの変化がある場合は、自己判断で水分量だけを変えず、診察時に共有してください。
のどの渇きは、塩分と食事内容の影響を受けます
水分を増やす前に見直したいこと
- 漬物、麺類の汁、加工食品、外食で塩分が増えていないか
- 冷たい飲み物を一気に飲む習慣が増えていないか
- 口の乾燥や冷房による乾きと、本当の脱水感を分けて考えているか
塩分を多くとると、のどが渇き、水分をとりたくなります。日本透析医学会は慢性透析患者の食塩摂取について、6g/日未満を原則としつつ、尿量、身体活動度、体格、栄養状態、透析間体重増加を考慮して調整すると示しています。つまり、塩分も水分も、患者さんごとの条件で見ていく必要があります。食べる量が少ない方では、減塩と栄養のバランスも同時に考えます。
| 夏に増えやすいもの | 工夫の例 |
|---|---|
| 麺類の汁 | 汁を残す、つけ汁を薄めすぎず量を少なくする |
| スポーツドリンク | 糖分や塩分が含まれるため、自己判断で常用しない |
| 氷や冷たい飲料 | 量を決め、小さいコップや氷の個数で見える化する |
「水分を減らす」より「塩分を整える」ほうが続けやすいことがあります
のどが渇く原因を飲水だけで考えると、我慢が中心になり苦しくなります。だし、酸味、香味野菜、香辛料を使い、味の満足感を保ちながら塩分を抑えると、水分量も整えやすくなります。
夏の水分管理は、生活の中で見える化します
飲む量を容器で決める
ペットボトルやコップの大きさを決め、どのくらい飲んだかを見えるようにします。氷も水分として数える習慣が大切です。
食事の水分を見直す
汁物、鍋物、果物、ゼリー、麺類などは水分を多く含みます。夏は冷たい麺や果物が増えやすいため、頻度を確認します。
体重増加のパターンを見る
中1日と中2日で増え方が違うか、外食や暑い日の翌日に増えやすいかを記録すると、相談しやすくなります。
水分管理は、厳しく我慢するほどよいというものではありません。暑さで食事量が落ちると栄養不足につながることもあります。体重増加、血圧、食欲、便通、睡眠を合わせて見ながら、無理なく続く方法を探しましょう。とくに夏は、冷房で口が乾く日、外出で汗をかく日、食事が麺類に偏る日など、同じ一週間の中でも条件が変わります。毎日を同じルールで縛るより、記録をもとに主治医や管理栄養士と調整するほうが現実的です。
迷うときは、体重・血圧・症状をセットで相談します
| 相談したいサイン | 体重増加が続く、血圧が不安定、むくみ、強いのどの渇き、食事量低下 |
|---|---|
| 受診を急ぐサイン | 息苦しさ、胸の痛み、意識がぼんやりする、強い脱力、発熱を伴う体調不良 |
| 当院での相談先 | 主治医、看護師、管理栄養士への相談が必要な場合は院内で確認します |
息苦しさ、胸の痛み、意識がぼんやりする、強い脱力、発熱を伴う体調不良がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。水分を増やすか減らすかだけで判断せず、体に水分が多い状態か、脱水傾向か、感染や別の病気が関係していないかを確認する必要があります。
当院では血液透析(HD)、オンラインHDF、I-HDFに対応し、透析中の体調変化も含めて相談できます。夏の水分量や体重増加が気になる方は、透析前後の体重、家庭血圧、食事内容をメモしてお持ちください。電話は03-5615-1566、予約案内は https://www.tokyonext.jp/reservation をご確認ください。
よくある質問
夏は汗をかくので水分を増やしてよいですか?
汗の量だけでは判断できません。透析間の体重増加、血圧、むくみ、尿量を見ながら主治医や看護師へ相談します。
氷は水分に入りますか?
入ります。氷1個でも水分量として積み重なるため、個数を決めておくと管理しやすくなります。
スポーツドリンクは熱中症対策になりますか?
糖分や塩分が含まれるため、透析中の方が自己判断で常用するのは避け、必要性を医療者へ相談してください。
のどが渇いて眠れないときはどうすればよいですか?
塩分、室温、口の乾燥、血糖などが関係することがあります。飲水量だけでなく、食事内容や体重増加を一緒に確認します。
体重増加の目安は全員同じですか?
一般的な目安はありますが、尿量、体格、栄養状態、透析条件で異なります。ご自身の目安は主治医に確認してください。
夏に食欲が落ちた場合も水分制限を優先しますか?
食事量低下は栄養不足につながることがあります。体重、血圧、検査値を見ながら、主治医や管理栄養士に相談しましょう。
※本記事は、当院で夏場の水分・食事についてよくいただくご相談を整理したものです。水分量や食事制限は患者様ごとに異なるため、具体的な調整は主治医や管理栄養士にご相談ください。
