2026.9.28 透析
透析中や帰宅後の低血糖が心配な方へ|症状と備えの考え方
透析中に冷や汗が出る、帰宅後にぼんやりする。こうした変化があると、疲れなのか血糖の変化なのか迷うことがあります。とくに糖尿病の治療を受けている方は、食事の時間や量、薬、透析の影響を一緒に確認することが大切です。症状だけで原因を決めず、低血糖が疑われたときの対応をあらかじめ主治医と共有しておきましょう。
冷や汗やぼんやり感は、その場で知らせてください
血液中のブドウ糖が少なくなる低血糖では、冷や汗、手の震え、動悸、強い空腹感などが現れます。進むと集中しにくい、受け答えがいつもと違うといった変化が出ることもあります。ただし、透析中の血圧低下などでも似た症状があり、「いつものこと」と決めつけないことが大切です。
透析中は、我慢して終了を待たなくて大丈夫です
気分の変化があれば、看護師や臨床工学技士へその時点で伝えてください。血糖や血圧などを確かめ、原因に応じて対応します。食事を抜いた、普段より少なかった、薬をいつもと違う時刻に使ったという情報も役立ちます。採血の日だけでなく、その日の体調が判断材料になります。
意識や飲み込みに異常がある場合
意識がはっきりしない、けいれんする、飲み込めない場合は、すぐに医療機関を受診してください。周囲の方は119番で救急要請し、口から食べ物や飲み物を無理に入れないでください。院内では直ちにスタッフを呼んでください。
低血糖の自覚が乏しい場合もあります
低血糖を繰り返す方などでは、冷や汗や震えが目立たないことがあります。「症状がなかったから低血糖ではない」とは言えません。ご家族が気づく会話の変化や普段と違う眠気も伝えてください。症状が強いときは測定や記録のために連絡を遅らせず、安全確保を優先します。
腎機能・透析・食事の時間が血糖に関わります
腎臓は、薬の処理と血糖の維持にも関わります
腎機能が低下すると、インスリンや一部の糖尿病薬の作用が長く続くことがあります。また、腎臓で糖を作る働きも低下し、食べられない時間の影響を受けやすくなります。すべての糖尿病薬が同じ性質ではないため、薬の名前、使う量、食事との関係を個別に確認します。
透析でも血糖やインスリンの動きが変わります。そのため、透析日と透析のない日を同じ感覚で判断できない場合があります。血糖が低くなる場面も高くなる場面もあり、自己判断で薬を抜いたり、インスリンを減らしたりすると、別の時間帯の血糖が乱れることがあります。
| 場面 | 診療で一緒に確かめること |
|---|---|
| 透析前 | 食事をとった時刻と量、薬やインスリンの使用時刻 |
| 透析中 | 症状が出た時刻、血糖・血圧、食事の有無 |
| 帰宅後・就寝前後 | 帰宅までの移動、夕食、夜間の症状、測定記録 |
一回の数値と、数週間の指標は役割が違います
HbA1cなどの平均的な血糖を反映する検査だけでは、短時間の低血糖を捉えられません。透析中は貧血やその治療の影響でHbA1cの読み方にも注意が必要です。血糖の測定記録、必要に応じた別の指標、症状の経過を合わせ、低い時間帯を見落とさないようにします。
家での対応は「そのとき考える」前に準備を
補給するものと、再確認の方法を決めておきます
意識がはっきりしていて飲み込める場合の低血糖対処には、速やかに吸収される糖の補給が必要です。どの数値や症状で、何をどれだけとり、いつ再測定・連絡するかを主治医と決めておきましょう。低血糖対策のブドウ糖を準備する場合も、形や必要量を診療時に確認しておくと迷いを減らせます。
透析中の飲水制限を理由に低血糖対応を先延ばしにする必要はありません。飲み物を大量に飲む方法に頼らず対応できるよう、持ち歩くものを個別に相談してください。糖分のない飲料では補給にならず、使っている薬によっては砂糖よりブドウ糖が必要になることもあります。
- 外出時も使える低血糖対処用品と測定器を、取り出せる場所に置く
- 家族には、意識が悪いときは口から与えず救急要請することを共有する
- 連絡先と、改善しない・繰り返す場合の連絡基準を一緒に確認する
改善したあとも、起きた理由を振り返ります
糖をとって楽になったあとも、薬の作用が残って低血糖を繰り返す場合があります。とくに意識の変化があった場合や、一度よくなって再び悪くなる場合は、様子見で終わらせず医療機関に相談してください。「何時に、何を食べ、薬をどう使ったか」が再発予防の手がかりになります。
食事がとれない日の薬の扱いは、食べられなくなってから一人で決めると負担が大きくなります。発熱、嘔吐、検査の絶食など、普段と違う日を想定した連絡方法も決めておきましょう。透析施設と糖尿病の診療先が別なら、両方に変更内容が伝わるようにしておくことが大切です。
次の診療で一緒に確認しましょう
低血糖への備えは、症状の見つけ方、個別の対処方法、改善後の連絡までを一組にしておくことです。薬を自分で変える前に、食事と透析の時間を主治医と一緒に振り返りましょう。
「低血糖かどうかわからない」という段階でも、当院の医師や看護師へお話しください。通院中の変化と帰宅後の暮らしをつなげて、無理なく続けられる備えを一緒に確認します。
よくある質問
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糖尿病の薬を使っていなければ低血糖は起きませんか?
薬を使っていなくても、食事量の低下などが重なると起こる場合があります。症状だけでは血圧低下などとの区別が難しいため、透析中はスタッフへ伝え、帰宅後は主治医が決めた対応に従ってください。
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透析の日だけインスリンを減らせばよいですか?
一律には決められません。使う製剤、食事、透析前後の血糖の動きで対応は異なります。自己判断で増減せず、透析日と非透析日の記録をもとに主治医が調整します。
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低血糖が怖いので、毎回甘い物を多めに食べてもよいですか?
予防のために余分な糖をとり続けると、高血糖などにつながる場合があります。低血糖が起きる時間帯や食事との関係を調べ、必要な補食や薬の調整を相談しましょう。
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センサーの値と体調が合わないときはどうしますか?
センサーで測る値と血液中の血糖には時間差などがあります。機器の説明と主治医の指示に従って確認してください。強い症状や意識の変化があるときは、数値の確認だけに時間をかけず助けを求めてください。
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軽い症状でも伝えたほうがよいですか?
短時間で治まった冷や汗や震えも、繰り返すなら大切な情報です。いつ起きたかだけでも伝えてください。症状がない日との違いを見ることで、生活に合った予防策を考えやすくなります。
※本記事は、当院で透析中によく確認する体調変化の目安を整理したものです。症状がある場合は自己判断せず、主治医または医療機関にご相談ください。
