• 03-5615-1566
  • [ご予約]透析:メール・電話可/内科:電話のみ
  • ※内科は前日までの予約制です

コラム

透析

透析患者の貧血|ヘモグロビンとだるさを一緒に見る理由

透析患者の貧血|ヘモグロビンとだるさを一緒に見る理由

透析中の検査でヘモグロビンが低いと言われると、「食べ方が悪いのか」「だるさは貧血のせいか」と心配になることがあります。腎性貧血には、腎臓が作るホルモン、鉄の利用、炎症、出血、栄養、透析条件などが関わり、数値一つだけでは整理できません。この記事では、症状と検査値を一緒に見る理由、治療の考え方、相談時に伝えることを説明します。

腎性貧血は、赤血球を作る合図が弱くなることから起こります

健康な腎臓は、体内の酸素が足りないときにエリスロポエチンというホルモンを作り、骨髄へ赤血球を作る合図を送ります。CKDが進むとこの合図が弱くなり、赤血球が十分に作られにくくなります。透析患者さんでは、採血や透析回路による少量の血液損失、鉄の不足や利用しにくさ、炎症なども重なることがあります。


鉄が体内にあっても、赤血球作りに使いにくいことがあります

貧血の確認では、血清鉄だけでなく、フェリチンやトランスフェリン飽和度など、鉄の蓄えと利用のしやすさをみる検査を組み合わせることがあります。炎症や感染があると数値の意味が変わるため、鉄を多くとれば解決するとは限りません。


だるさは貧血以外の原因とも重なります

だるさ、息切れ、動悸、めまい、集中しにくさは貧血でみられることがありますが、血圧低下、心臓の病気、感染、睡眠不足、栄養不足などでも起こります。透析後だけ強いのか、透析のない日も続くのかを分けて伝えることが大切です。

確認するもの分かること一緒に見る内容
ヘモグロビン血液が酸素を運ぶ力の目安変化の速さ、症状、過去の値
鉄関連検査鉄の蓄えと利用状況の手がかり炎症、出血、食事、治療歴
体調記録生活への影響息切れ、動悸、疲れ、睡眠
透析記録治療中の変化血圧、回路内残血、治療条件

赤血球は全身へ酸素を運ぶ役割があるため、貧血が進むと心臓はより多く血液を送り出そうとします。ただし症状の出方はゆっくり変わることもあり、本人が慣れて気づきにくい場合があります。以前と比べて休む回数が増えた、同じ道で息が上がるようになったという変化を、検査値と一緒に伝えてください。


ヘモグロビンは、目標値だけでなく変化の流れを見ます

日本透析医学会の腎性貧血治療ガイドラインでは、貧血治療を患者さんの状態に応じて行い、検査値、鉄の状態、合併症などを踏まえて評価します。ガイドラインの目標は医療者が治療を考えるための基準であり、患者さんが一回の値を見て注射や薬を増減するための数字ではありません。


一回の上下より、急な変化や続く変化が手がかりです

同じ方でも採血時期や体内の水分量で濃度の見え方が変わることがあります。数値が少し動いたときは、過去数回の推移、症状、透析間の体重増加などを一緒に見ます。急に低下した場合は出血や感染など別の原因も確認します。


生活で感じる変化を数値の横に置きます

相談時に伝えたい変化

  • 階段や歩行で息切れが増えた
  • 動悸、めまい、立ちくらみがある
  • 透析のない日も疲れが続く
  • 黒い便、血便、鼻血など出血が気になる
  • 食欲低下、発熱、体重減少が続いている

症状がない方でも検査値の経過を見ながら治療を調整します。反対に、ヘモグロビンが以前と同じでも、息切れや動悸が増えた場合はほかの原因を含めた確認が必要です。

参考:日本透析医学会「ガイドライン・提言」2015年版 腎性貧血治療ガイドライン


治療は、造血の合図・鉄・原因の三方向から調整します

腎性貧血では、赤血球を作る合図を補う薬、鉄を補う治療、背景にある出血や炎症への対応などを組み合わせることがあります。新しい薬を含め選択肢は複数ありますが、血圧、血栓のリスク、心血管の状態、鉄の値などにより向き不向きが変わります。

貧血の型を確認する

ヘモグロビン、鉄関連検査、赤血球の大きさ、炎症、出血の可能性を確認し、腎性貧血だけで説明できるかを見ます。

治療の目的を共有する

数値を上げることだけでなく、息切れや疲れを軽くし、安全に生活を続けられる範囲を考えます。

反応と副作用を追う

治療後の検査値、血圧、症状を確認し、反応が乏しいときは鉄の利用や炎症など別の要因を見直します。

鉄のサプリメントや食品を自己判断で増やすと、ほかの薬との重複や過剰につながることがあります。注射や内服を忘れた場合も、次回にまとめて補う前に主治医や透析スタッフへ確認してください。

治療の反応が乏しいときは、薬が足りないと決めつけず、感染や炎症、出血、透析量、栄養状態などを見直します。反対に数値が上がりすぎた場合も、治療量を調整することがあります。目標範囲は安全性と生活のしやすさの両方を考えて決めるため、ほかの患者さんと薬の量やヘモグロビンを比べる必要はありません。


胸の痛みや安静時の息苦しさがある場合は受診を急いでください

胸の痛み、安静にしていても続く息苦しさ、失神、意識がぼんやりする、止まりにくい出血がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。貧血だけと決めつけず、心臓や呼吸、出血など緊急性のある原因を確認する必要があります。

強い症状がなくても、以前より歩ける距離が短くなった、透析翌日まで疲れが残る、仕事や家事がつらいという変化は大切な相談内容です。当院では透析中の検査値と生活への影響を合わせ、主治医、看護師、臨床工学技士が確認します。

数値だけでなく、暮らしの変化もお聞かせください

当院は全43床で、全ベッドHD・I-HDF・オンラインHDFに対応しています。治療法を一律に変えるのではなく、貧血、血圧、透析条件、食事、生活リズムを一緒に確認します。電話は03-5615-1566です。迷っている段階でも透析時にご相談ください。


よくある質問

  • ヘモグロビンが低いと必ず症状が出ますか?

    症状の感じ方には個人差があります。数値、変化の速さ、生活への影響を合わせて評価します。

  • 鉄分の多い食品を増やせばよいですか?

    鉄の不足以外の原因もあり、透析中はほかの栄養素も確認が必要です。検査値を見て主治医や管理栄養士へ相談してください。

  • 貧血の注射は全員同じ量ですか?

    いいえ。検査値、反応、血圧、合併症などを見ながら個別に調整します。

  • 透析後のだるさは貧血が原因ですか?

    貧血のほか、除水、血圧、睡眠、栄養など複数の要因があります。症状が出る時間帯を伝えてください。

  • どの症状なら受診を急ぐべきですか?

    胸の痛み、安静時の息苦しさ、失神、意識の変化、止まりにくい出血がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。

※本記事は、当院で透析中によく確認する体調変化の目安を整理したものです。症状がある場合は自己判断せず、主治医または医療機関にご相談ください。

予約・問い合わせページ